旧統一教会元信者の衝撃告白手記(9):借金返済部門に志願【転載自由】

おやぢの独白1999
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借金返済部門でおやぢは何をしていたのか

簡単にいうと「紛争の和解係」
統一教会本部としての立場ではなく、ある地区教会の”責任者の代理人”としての立場で、あるときは債務者として誠意を示し、またあるときはクレーム処理、またあるときは弁護士さんとの折衝、などなど……

債務者としての仕事は、信者またはインチキ霊能者から主を証された人との間に交わされた金銭貸借契約書を元にした返済、または延長のお願いなど。

現役信者で百万単位の貸借に関しては、先述の土地を取られた壮年同様、真のご父母様を信じているので、延長または債権放棄にも応じてくださいましたが、ご自分が信者と思っていない、つまり霊感トークを受けてオキヨメするために教会に預けているだけ、と信じている方は一年経過するとそれはもうお金は返ってくるわ満願成就のご利益を受けられるわと二重の喜びでニコニコとしながら返済要求をなされるわけです。

しかし、教会にカネはないのです。苦し紛れに延長をお願いしにあがるわけですが、そんな言葉を聞くと顔が般若のようになるのです(あたりまえ)

当然、ぼくが責められます。そしてとうとうマスコミで騒がれている霊感商法に引っかかった!と気づくのです。
ぼくが、代人として交渉している以上、客観的なことは言ってられません。しかし、誠意を示そうとしても現金がありありません。ですから、教会の責任者に強くいいます。

「どうしても金を工面しないなら事件にしましょう!」というと、さらに上のエライさんが金をもって来たりします(なんだカネあるんじゃねえか!)

こんなことばっかりです。

次に、クレーム処理です。
ぼくと同じようにお壷さまや霊感商品を授かった方々が、数年たってから「金返せー」と言い出すこともございます。

もちろん、名簿上教会員になっている方でございます。が、礼拝には来ていない方でございます。
教会に怒鳴り込んできたり、内容証明郵便を送ってきたりするのでございます。

そのような方へ対応するのもおやぢの役目でございました。責任者と名のつく者がツラ出したがらないもんですから。

ところで、このようなクレームをつける方には、なぜだか現役教会員がさかんに喚いているところの「霊石の価値」を再度訴え牧会をする牧師様や責任者はおられませんでした。

内容証明郵便が届きますと、すぐ和解の方向に持っていくのです。

訪問したり、電話で苦情を承るのがおやぢの仕事でございました。
それで、お壷さまや数珠などを教会に持ち帰ります。それだけで倉庫が溢れかえるようでした。

返金要求には呑む姿勢でのぞむのですが、やはり一括では返せませんので分割返済で交渉させていただくわけです。
それで、ますます教会の負債が増えていくわけです。

「金返しやがれこの野郎!」と、ビデオセンターに怒鳴り込んでくる、奥さんが内緒で献金してしまったそのご主人がた。
「健康展で買わされた人参茶、返すかんね!」といって返金要求する高齢独身のお姉さまがた……

このように、直接異議申立てをされる方には和解に応じるというのは教会の方針なので、これをして統一教会は紳士的だと主張するハッタリ野郎!がいます。

どこが紳士的なものか。

正当な商行為をしているのなら、時効のものまで返金に応ずるのはおやぢより人が好いというか、馬鹿だ。
こころにやましい事があり、事件にされるのを恐れているからこそホイホイ和解に応じるのではないか、このハッタリ野郎!

ごく少数だが、中には
「やましいことをしていないなら、なぜ和解に応じるのだ!」
と会長に吼えまくる食口もいる。正論だ。

それに対して、のらりくらりといつまでたっても回答をしないのが、統一教会の本部というところである。

統一教会がらみの裁判は「青春を奪った統一協会―青春を返せ裁判(東京)の記録」をご覧になれば詳しくでているが、これだけでは統一教会の全貌を知る事はできない。
水面下ではうやむやにされている非道い実態もたくさんあるということを忘れてはならない。

続けて、借金返済部門での仕事を紹介しましょう。

弁護士名で内容証明郵便が送られてくる。
宛先は、同様の文面で統一教会本部と地区教会である。
TVですっかり有名になられたお馴染み、紀藤正樹弁護士、伊藤芳朗弁護士などである。

こういう内容に関して、本部教会は一切関知しない。当然、地区教会のおやぢのような幹部でもなんでもない者が弁護士さんと折衝する。

教会側の和解案は長期分割である。弁護士さんもカネがないのを知っているので、現金一括払いを主張して頑として長期分割に応じない、ということはない。

本人が長期分割に承認すれば、おやぢ名義で借用書を交わす。おやぢとしてはそれが精一杯の誠意である。

もちろん、弁護士を通じての返金要求には第一優先で返済する努力をしているので、バッくれることはない。だが、いつの日か返済不能に陥るやもしれない。だからこそ、おやぢは統一教会ウオッチャーにならざるを得ないのだ。

それでも、たまに返済期日に遅れたり、2~3回滞ったりする場合もある。
弁護士さんから電話がくる。
「約束守りなさいよ!」と、脅かされる。
でも、カネがない。
しかし、誠意だけは示したい。
再度、現時点の債務額から長期分割交渉をする。

これが、一件だけではない、当時ぼくは弁護士がらみだけで十数件受け持っていた。それ以外の本人との和解件数は相当なものだった。

弁護士さんと本件とは関係ないいろんな話をした。
統一教会の教義の事、文鮮明教祖の事、幹部の事、ぼくの考えていること……

ぼくの話を聞いていくうちに弁護士さんから、
「あなた本当に統一教会信者なの?」
と疑われるくらい一般の食口とはなにか違った考えをしていたのだと思う。
というより、こういう当たり前の考えをしている教会員と話した事がない、ということがわかった。

でも、そんな事は問題ではない。
どうしたら、債務を早くなくすことが出来るのか?が問題なのだ。
弁護士さんもごく当たり前の仕事をしているのに「赤い弁護士」などとレッテルを貼られているのを大変気の毒に思いました。

礼拝にしか参加していない信者の大半は、今が希望であると信じて疑わないことでしょう。だからこそ、こんな内実があったとは信じられないと思います。

あるいはごく一部の教会のことだと思うかもしれません。仕方ないことです。
同時に、この内容を暴露したからといって、この問題が急速に解決するとも思っていません。
大変複雑で難しい問題だと思います。
でもあえて書いたのは、知らないより知っていた方がいいこともあると思ったからです。

最後に。

では、なぜおやぢが現在
「教会に所属していないでカイン的なことばかり書いてんだよう。結局、歴史的傍観者じゃないかよう」
とお思いの純粋なお気持ちをもった信者さんにお答えします。

それは、組織を追い出されたからです。
自分から買って出た仕事だったのですが、おやぢの仕事ぶりが組織の意に添わなかったのだと思います。

現在、そういう部門にいる人は自分から志願しているのではなく、人事で配置されていますから、本音はできれば逃げたいという気持はわかります。
でもまだそこにいるのは上からいわれたことを素直にやっているからなのです。

つまり、出来るだけ信者に対して返金しない方向であり、うるさく言ってくる者、法的行為に出てくる者を優先しているからです。

本気でこの問題に取り組んだら、その責任分担を外されます。

「そんな文句いうならおまえがやってみろ!」と開きなおる人の声も聞こえてくるようです。

でも、ぼくはそれをやろうとしたから組織から追い出されたのです。

詳細は複雑すぎてここでは書けません。
今後も、おやぢの素性を知っている者が教会に招こうなどいう人はいないと思います。

なぜなら招いたら最後、暴れられるのを知っているからなのです。

数年前のTVに登場した教会員有志がいました。

山崎さんらの脱会宣言が話題になっているころ
「俺にも一言いわしてくれ!」「反対派にガツンといってやる」
ってんで、ワイドショーに登場した教会員(50代に見えた)がいました。

おそらくあの方は
「ぼくは、何もやましいことをしていない。反対派や世間の人の誤解を解く為にもぼくが言わなければならないのだ!」
と正義感に燃えて登場したのかもしれません。

実際、あの方は統一教会から差し向けられた人ではなく自発的に登場したのは間違いありませでした。

でも結果はどうだったでしょう。
質問にまともに答えられなくてしどろもどろになってしまい、反対派も哀れんでいたくらいでした。

それを見た統一教会側は、反対派にも世間の皆様にも更に統一教会を悪くするようなイメージを与えてしまった、と感じたようです。

教会内部の食口たちの反応は冷ややかでした。
「ホウレンソウしないで出るからあんなことになるのよ」
「中心とつながってない人はちょっとズレてんだよね」
「ホントにつながってる食口なのかい?あれ」

例えば彼がオウム事件当時の上佑氏のようなハッタリ野郎でその場をなんとかごまかせるようなベシャリが出来ていたとしたら、一躍ヒーローにまつりあげられていたのかもしれません。

「さすが先輩家庭だけありますよね」
「赤い弁護士がタジタジでしたよね」
「こんどうちの教会にも特別講師として講演してもらいたいです」
「反対派対策のビデオにこのシーン入れよう」
とこうなる。

で、おやぢが思ったのは
「内部にいると世の中のことわからなくなってしまうんだな」
ってこと。

彼は、おやぢの書いた内容を信じられないあるいは信じたくないような実際の現場を知らない人だったのだと思う。

でも、彼がどういうベシャリをしたところで統一教会のイメージがかわることなどなかったと思う。

しどろもどろなら
「ほーら、なんにも答えらんないじゃねえか、馬鹿だなコイツ」
(内部の食口と同じ感想)

ハッタリかまして反対派を煙にまいたら
「しかしまあよくあんなでたらめいえるもんだねぇ、あーいえばこーいう。ったくバカバカしい!」

統一教会がなにを言ったって、マイナスイメージがプラスに転じることなど有り得ないのだ。

それらの顛末を見ながら、借金返済部門にいるおやぢは、教会員がそこまで非統一教会員や世間様をナメているということがよーくわかって、また血圧を上げたのだった。

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