【統一教会の性交儀式による血統転換】英語版 抄訳 

血分け問題
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Change of Blood Lineage Through Ritual Sex in the Unification Church

Change of Blood Lineage Through Ritual Sex in the Unification Church
ペーパーバック – 2010/1/18 英語版 Kirsti L. Nevalainen (著)

暗在翔子さんによる抄訳を紹介します。

この本の著者 クリスティ・ネヴァライネン氏はフィンランド人女性で、統一教会の元信者です。
1971年、語学実習でドイツに滞在していたときに伝道され、その後頼まれて統一原理のスタディガイド(金永雲著)をフィンランド語に翻訳したといいます。
72年から77年まで先輩ドイツ人姉妹と2人でフィンランドの開拓伝道を行い、その間に60~70人の活動的なフィンランド人が復帰され(信者になり)、彼らのほとんどはIOWC(国際統一十字軍)のメンバーとして、ヨーロッパ、アジア、アメリカ等世界各地を宣教してまわったといいます。(P1より)

IOWC(国際統一十字軍)といえば、1975年に日本にも来ていましたね。その頃青春を送った方々の中には、街頭で伝道する欧米人の彼らに声を掛けられたことがある方もおられるのではないでしょうか。彼らは、当時日本人信者にありがちな押し付けがましさやしつこさがなく、霊性高く、明るく知的で熱心で、とても感動的だったではないですか。(ここは懐かしき時代の出来事を無責任に理想化したたわ言としてお読み飛ばしください)

クリスティはその後アメリカに渡って活動し、1979年5月に脱会します。教会を去った主な理由は、文鮮明氏の“共産主義はサタンの権化である”との解釈を受け入れられず、文氏の手段を選ばない反共産主義の政治活動に参加したくなかったからであり、8年間の教会生活でこの運動のことはよくわかっていたからだといいます。(P2より)

 彼女は、宗教活動だけをしていたい政治オンチだとか、霊的救いのみに固執して成約の再臨主(文鮮明)を理解できずに躓いたとか、教会内でいわれそうなそんな状態ではなく、洗練された鋭い政治・人権意識をもっていたようです。
 彼女は当時なにを見たのか、なにを知っていたのか。
 彼女の視点に押され促されるようにして、私も統一教会関連の反共産主義団体であるWACL(ワクル)やCAUSA(カウサ)の中南米での活動について書かれた海外ジャーナリストの英文調査記事をネットで読み漁ったところ、たとえばボリビアで、ホンジュラスで、ニカラグアで…… (ここにはくわしく書きませんが)主義主張の相違・対立を勘定に入れて差し引いてもこれはまずいだろうという活動内容の実際を知り、私自身、組織への断罪と自分への総括が入り混ざったような複雑な気分になりました。

 脱会後のクリスティについては情報がなく分かりませんが、2010年に本書をオンデマンド出版するまでに、宗教学や社会学の参考文献(学術的文献 + 統一教会資料 + 反統一教会資料)を大量に読み込み、ある程度ハングルをものにしたことは確かでしょう

 なお、抄訳したのは、
韓国のシャーマニズムの部分:P52 53 54 55 56  
韓国のキリスト教とメシア団体の部分: P54 61 89 90 91 92 139 
家庭内クーデターの部分: P59 60
 の一部です 。
[暗在翔子さん記]


韓国の土着の宗教はシャーマニズムで、その主な特徴は、ハヌニムHanunim(または天の王)を、数々の自然神のうちで最高の神として信仰することにある。
シャーマニズムの世界観では、神は超越ではなく内在していて、神々や女神や精霊たちが霊媒であるシャーマンを通してしゃべり、シャーマンの体の中に安定して住みつく。これはシャーマンと神との霊的な結婚であり、ネリム クッ(神降しの儀式)と呼ばれる。
結婚したシャーマンと霊との性行為は大体は夢や白昼夢の中でなされ、エクスタシーの体験が伴なう。シャーマンは神と結婚し性関係をもっているので、シャーマン自身も神のような神聖な状態に転換されたと見なされる。

現代の韓国のシャーマニズムは道教と仏教が徹底して混ざっている。
外国から入って来たこの2つの宗教はシャーマニズムと混ざり合い渾然一体化して、それらを分けるのが難しいほどだ。

他方で儒教は、シャーマニズムと相克する信仰ではなく、相棒のように相対する信仰になった。
それらは互いに補完し合って、家族の生活のための独特の宗教を形成した。
特に李氏朝鮮時代では、男性たちの世界はシャーマニズムよりも主に儒教の儀式・制度が実施されるのが見受けられ、女性の領域である家庭内のことはシャーマニズムの儀式が取り仕切ることが多かった。

韓国の文化の核はシャーマニズムである。シャーマニズムは韓国に外国の宗教が入って来ても消滅せず、廃れるかわりに混合主義を促進してきた
シャーマニズムは、朝鮮の長い歴史を通して人々の心と社会・文化の構造に、基本的な視点を提供してきた。

シャーマニズムは、宗教のシステムとして道徳や倫理の問題にそれほど関心を持っていない。
それは、形而上の問題ではなく、健康、物質的保証、出産や個人的手引きのような生活にまつわる事柄に重きを置くきらいがある。

19世紀以前から、韓国のシャーマニズムは新しく外国から入って来た宗教であるキリスト教の概念も取り入れてきた。
韓国人のクリスチャンは、伝統的なシャーマ二ズムの世界観にひどく影響されている。たとえばプロテスタント教会では、聖霊の現れと言われるシャーマニズム的な宗教的体験をする。韓国のクリスチャンは聖霊の力を必死で求め、聖霊に清められ聖霊に満たされることを欲している。
霊的な能力は、きちんとした聖書の知識や善なる人格、道徳的な行いや専門的訓練などよりももっとずっと重要だとみなされている。
韓国のキリスト教は、公式の神学に比べると、神の内在性が強調されている。
今や韓国のプロテスタントはキリスト教的シャーマニズムに成り下がって、礼拝の形式と用語はキリスト教のものだが、信仰の内容と構造はほとんどシャーマニズムだ、と論考する学者たちもいる。
外国から入って来た宗教の信仰と実践は、シャーマニズム様式の考え方と実践に同化されて、本来の意味を失う傾向があった。

1920年代から40年代にかけて、韓国では数多くのキリスト教系メシア団体が現れた。 それらは教義を混合・合併させ、シャーマニズムの特徴である霊界への多大な関心を持ち、霊と交信し、そのうちのいくつかは性の儀式を行った。
韓国でカルト的な運動が盛んになるのは、シャーマニズムの影響が密接に関係している。
カリスマ的指導者たちは恍惚状態のなかで神からメッセージを受けたと主張し、千年王国や神の地上王国を建てるのだと主張する。それはその霊的団体の設立者が君主となる王国である。
多くの韓国の霊的団体はメシアが朝鮮半島に人間として生まれると信じている。

20世紀の前半に韓国に興った数々の新興宗教団体もシャーマニズムの影響を色濃く受けていて、実際文鮮明氏もそれらに参加し、ピガルムあるいはヨンチェと呼ばれる性の儀式を受けて『サタンの血統から神の血統に転換』された。それから自分の団体を立ち上げた。
イブがエデンの園でサタンと性的関係を持ち、その結果、人間はみなサタンの血統に汚されて、新しいメシア、再臨の主から始まる新しい血統によって浄化されるべきだという考えは、文鮮明氏が発明したのではなかった。
1945年の時点で、自分がメシアだと主張する少なくとも70人が韓国に実際いた。

著者は統一教会の主目的である血統転換と性の儀式を、より広く韓国の歴史的文脈(韓国のシャーマニズム的性儀式伝統)の中に据え、しっかりと位置付けて洞察していて有意義である。またその由来をユダヤ旧約偽典、中近東の古い宗教にまでさかのぼっていて興味深い。 以下は、清平が統一教会内でのしあがったことが連想されて面白かった部分の訳である。[暗在翔子さん]


韓国ではムダン(女シャーマン)になることは、家庭内の力関係を変えるために一番効果のある方法だといわれる。霊に取りつかれ神の招命に応えれば、彼女は実際家庭内クーデターを起こしたようなものだ。
韓国は伝統的に儒教社会で、家庭内で強い上下の位置関係の決まりがあり、三従の教えの如く女はいつも男より下でなければならない。

対照的にムダンは常に彼女の家庭の中で中心人物だ。外で仕事を持っている夫たちはほとんどの場合、妻がムダンになったのを恥じて仕事を辞めてしまい、家で家事や子育てをするようになる。

女シャーマンと以前彼女を圧制した夫やその親たちとの力関係が逆転し、逆転を継続させながら、彼女は経済的に自立、家族は彼女に経済的に依存、その一大変化は韓国のムダンの生活史において際立つ特徴になっている。
歴史的に嫁たちの脅威といわれる姑さえも、息子のムダンの嫁に対して年老いた召使かのような弱腰のへりくだった態度をとるようになる。嫁に以前辛くあたったことに、霊力を使って復讐されるのを恐れるのだろう。

著者が主張するように、韓国のキリスト教的神霊宗教団体や文鮮明氏が、実際ピガルム(血わけ)をしていたかどうかは議論があるところで、 “性への言及の大方は象徴的で実際の性関係はなかった” と解釈する学者も多いそうだが、2013年には文氏の隠し子とその母への詳しいインタビュー記事がアメリカの一般雑誌2誌に掲載されていることからしても、ピガルム(血わけ)はあったと見るのが妥当ではないか。
 記事の中で隠し子の母は、文氏の相手は自分だけではなく、彼は数人の愛人をかかえていたと語っている。また文氏の子を身籠って産もうとしている彼女に宛てて、文氏が “あなたの気高い心情を讃えます” と書いた葉書の画像を公開している。単なる不倫・浮気よりも複雑なものを感じる。

 イタリアの社会学者で統一教会に関する著書も持つマッシモ・イントロベインMassimo Introvigneは、この本(『統一教会の儀式セックスによる血統転換』)を扱った書評の中で、
「反カルト派が文氏を淫蕩な性犯罪者として描写するためにこの本を使うのは簡単かもしれないが、本書でフィンランドの著者が伝えている内容はもっと複雑だ。」
 と述べている。

 シャーマ二ズムと性について補足すれば、46ページにこういう一文がある:
―――“多くのシャーマンが、朝になると 「昨夜、霊の夫(または妻)と性関係を持った」と言う。この現象はシベリア系の種族の間でよく起こる。たとえばブリヤート人(ロシア連邦やモンゴル国、中華人民共和国に住むモンゴル系民族:訳注)や、アムール川下流域に住むツングース系民族のナナイ人、ビルマや朝鮮のシャーマンにみられる”――
 シャーマンと霊との性関係は、韓国だけに限ったことではないようだ。また、西洋や中近東でも同じような話があると書かれている。

 20世紀前半朝鮮に出現した、シャーマニズムの影響を色濃く受けた数々のキリスト教系神霊宗教団体(の一部)が行っていたという “ピガルムあるいはヨンチェと呼ばれる性の儀式(血わけ)”とは、
(神と一つになって聖なる存在となった)教祖が男だったら女の信者と、女教祖だったら男の信者と性関係を持ち、その後、(男→)女→男→女→男→・・・と次々にリレーのようにセックスをしていくというもので、性関係を通して新しい霊の身体を受け取り、聖なる血統に転換されていくという教えである。(団体の例:イエス教会、聖主教団、腹中教、イスラエル修道院、荒野教会など。)

 1940年代に文氏と関係があった、血わけを行っていた女教祖(丁得恩)が説明した部分(P65,66)を抄訳すると: 
「ヨンチェとは、エデンの園でエバとへびの関係から人類が受け継いだ汚れた血を清めるための方法です。ヨンチェが行われるためには、誰から誰へヨンチェがなされるべきかを告げる天の啓示がなければならず、与える側と受ける側の二人は、『命がけでこの儀式を行うことを欲します』と言葉に出して言わなければなりません。与える方が上になり、受ける方が下になって、霊的な監督者の立ち会いのもと、神聖な環境で行われなければならず、一種の洗礼とみなすことができます。」

 文鮮明と統一教会は、1946年から50年代を通して、1962年に聖酒式と三日儀式がそれに取って代わるまで、血わけの儀式を実践していた、と作者は論じている。
 統一教会は、マネーロンダリングならぬ教義ロンダリング(教義の洗浄)をして、つまり姦通罪等法に抵触するおそれがあり良識に照らせば後ろ暗い部分のある血わけ儀式を、象徴化させた聖酒式と三日儀式に置き換えてから、広く海外にも発展していったという一つの興味深い考察に、なるほど~と思い、・・・ もっとも、――とびだすぞ ちわけは急にとまらない――ということで、実際の統一教会をみると、それ以降もセックスリレーのバトンは細々と少数精鋭で引き継がれていった形跡がある。その数々の実例はある程度長くいるメンバーなら様々な噂話等で聞いたことがあるだろう。[暗在翔子さん]

[出典:http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-485.html]


以上が、私が抄訳して、米本さんに原稿を訓練され、火の粉ブログに載せてもらったもので、文龍明氏の隠し子の母のことも含めてありますが、今回龍明小説で直接参考にしたのは、上記記事本文には入っていない(ディープ過ぎてコメント欄の最後に入れた)追加翻訳部分です。

「血統転換儀式」のピガルム(血分け)や「新しい霊体を受け取る」ヨンチェは、清い血統を持った神と同格の人間が自身の神聖さを性交によって異性の他者に授け渡すことができるとの考えに基づいている。ヨンチェまたはピガルムの儀式によって生まれてくる子どもは罪をもっていないとされる。(P67〜68)

{イエス教会の}新しい摂理時代のために新しい血統を立てるのは、劉明花とその支持者たちの使命で、これはヨンチェまたはピガルムの儀式を通して挙行された。

韓俊明は、1932年11月平壌で声明を出した:
『ある神的存在(劉明花)に降りた神の啓示は次のとおり:
韓俊明は、1933年6月9日にある女性を娶り、270日後の1934年3月に、昼を司る偉大な聖人Kwangjinを生むだろう;
また、朴スンゴルはある女性を娶って夜を司る偉大な聖人Kwangchaeを生むだろう』
(出典:ミン・ギョンべ著『朝鮮におけるキリスト教の歴史』P433 延世大学出版、ソウル、2005年)

この聖なる結婚は神によって定められたもので、この性の結合から生まれてくる子供たちは原罪がないのだ。
また平壌のパク・ウルリョンの神霊団体でも、誰がどのメンバーとヨンチェまたはピガルムの儀式を行わなければならないか啓示を与えていた。(P78〜79)

イエス・キリストが体内に降臨しているという劉明花の啓示内容を韓俊明が発表したこの降神劇を、延世大学のミン・ギョンべ教授は、これが韓国の異端教団のセックスモチーフの始発点であり、混淫に違いない としています。

* いとこのエピソードの参考文献として紹介したマイケル・ブリーンの「文鮮明初期伝」にもイエス教会の別の啓示の例が出ています。
https://www.tparents.org/Library/Unification/Books/Sm-Early/Chap03.htm
P44
Kim Bom joonという女性霊能者が予言して言った。
白南柱はある処女に子を孕ませるだろう。その子がメシアである
子が生まれ、その事が世間に漏れた時、既成キリスト教は白南柱を異端として批判した。
霊能者は泣いてこう祈った。
「どうしたらいいのでしょう、キリストが再び磔にされています。何もかもおしまいです」
すると彼女は別の啓示を受けた。
「白南柱の使命が達成できなかったので、別の赤子が準備され、すでに平壌に生まれている」
彼女は平壌に行こうとしたが、家族に気が狂ったと思われて阻止された。
(翻訳ここまで)

小ネタ3題
* 白南柱は金百文の師匠です。
* 文教祖は韓俊明をよく知っていたそうです。
—-イエス教の李浩彬牧師、韓俊明、朴在奉牧師など、幹部たちを私はよく知っています。このような人々が、先生と本当に近かったのです。(『真の御父母様の生涯路程 1』より)
* これまでの文脈からして、明らかに韓鶴子さんは血分けによってできた子供だと分かります。
—-お母様の父は李龍道牧師の弟子で啓示を受け「洪唯一という人の娘を嫁にもらえ。その子供が男なら天宙の王になる。女の子なら天宙の女王になる」というのです。そして私と二月の終わりに出会って三月の終わりにお母様をはらんだのです。
(洪順愛大母様の証1973年12月21日 東京教会)

[出典:http://anzais.blog.fc2.com/blog-entry-58.html]

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